東京地方裁判所 昭和43年(ワ)2274号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕三 (被告福島の責任について)
被告福島が加害車を所有していたことについては、原告と同被告間において争いがない。しかしながら、<証拠>によると、昭和三八年九月ごろ被告福島は、被告河久保に加害車を、代金は割賦で支払い、右割賦金の支払いが完了するまで所有権(を取得しうる地位)を留保して売り渡したことが認められる。<証拠>には加害車の所有者は関東自動車株式会社であり、その使用者は被告福島である旨の記載部分があるが、自動車の割賦販売の買主が右自動車を他に代金割賦払いで所有権(を取得しうる地位)を留保したうえ転売するような場合に、自動車損害賠償責任保険の契約者名義や自動車検査証の使用者名義をそのままにしておくことは間々あることであるから、それをもつて右認定を覆えすに足りるものとはいえず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
ところで、原告は、被告福島は被告河久保の使用者である旨主張するが、本件全証拠によるもこれを認めるに足らず、却つて<証拠>によると、被告河久保は、本件事故当時砂利等の運送業を自から営んでいたことが認められる。
そうとすれば、被告福島は、加害車の所有権留保付割賦販売の売主にすぎないというべく、したがつて本件事故による原告の損害賠償について運行供用者ないし使用者としての責任を負うべきいわれはないから、原告の被告福島に対する請求は爾余の点を判断するまでもなく理由がないといわなければならない。(並木茂)